隠れた犯罪

 特命班が追いかけたのはA代議士だけではありませんでした。ある大臣経験者は,多額の政治資金を政治団体から引き出しては株取引に使用し,儲けは個人の財布に入れて,資金を政治団体に戻すという行為を繰り返していました。政治資金規正法に抵触する行為でした。また,ある大物代議士の秘書が証券取引で大きな損失を出している口座がありましたが,現金の出し入れによる取引であったため,資金の流れを追い切れず,裏に隠れた事実にたどり着くことができなかった事案もありました。さらに証券会社の政官界担当の部署の部長が会社の資金を貯め込んでいることが分かり,贈賄の原資ではないかと考えて取り調べたところ,自分の株取引に流用していたという笑えない事案もありました。

 捜査は,いつもうまくいくものではありません。だからといって,先が予測できる事件しかやらないとか,苦労が報われない事件はやらないということでは,捜査のおもしろさ,苦しさ,それを乗り越えたときの感動ややり甲斐を理解できるようにはならないと思います。